2011年05月16日

小笠原だけの植物たち〜小笠原諸島の旅(5)

5/1 母島・石門

前回の続き)

110501小笠原母島石門オガサワラグワ

崖から森に戻る。石灰岩の露岩の割れ目から立派な「オガサワラグワ」が生えている。名前のとおり固有種。オガサワラグワは黒く硬く重い木で、磨くと黒檀のように黒光りする。それで装飾用として珍重され乱伐されてしまったため、大木が非常に少なく切り株ばかりが目につく。


110501小笠原母島石門木の皮から芽吹き

倒れた木の幹は朽ちてしまったものの、その樹皮から新しい緑が芽吹いている。石門の森の木々はたくましい。あるものは倒れて新芽を出し、あるものは倒れて朽ちて次の世代に場所をゆずる。はるか昔からその営みが繰り返されている。


110501小笠原母島石門晴れてきた

午前中に山を覆っていた霧も午後には切れ、陽の光がさしてきた。しかし、うっそうとした森は昼なお暗い。


110501小笠原母島石門のラピエ

石門山は海底より隆起した石灰岩の山で、地上のあちらこちらに石灰岩が顔を出している。この石灰岩は雨により浸食され、靴底に穴が開きそうなくらい鋭く尖った、ゴジラの背のギザギザを並べたような形になる。これをラピエと言うそうだ。


110501小笠原母島石門東港

また森が突然開け崖っぷちに出た。ここからは東港が見渡せる。東港には戦前には集落があったそうだが、今は無人だ。


110501小笠原母島セキモンノキ

これはその名も「セキモンノキ」。まさに世界中、ここ、石門にしか生えていない木。


110501小笠原母島セキモンウライソウ

そしてラピエにへばりついているこれは「セキモンウライソウ」。これもここにしかない。


110501小笠原母島石門のムニンシュスラン

これは「ムニンシュスラン」。やっぱり小笠原の固有種。花は3月までらしく枯れた花ばかりだったが、この株はたまたま開花が遅く花を見ることができた。


ガイドさんが辺りの木や草を見ながら、次々と名前を言う。そしてどれもこれも小笠原の固有種だ。小笠原だけの草木が茂る不思議の森だ。


110501小笠原母島石門下山

予定の時間ギリギリの3時半に登山口に戻ってきた。ふと道路の脇を見ると、出発前は分からなかったが、ここにも教えてもらった小笠原だけの植物が茂っているのに気付いた。


110501小笠原母島グリーンアノール

ツアー終了後、ガイドの早川さんの農園を見学させて頂き、早川さんと奥様から島の話や、将来の大きな夢の話を聞かせていただいた。


と、なんだか視界の隅をチョロチョロしているやつがいる。緑色のトカゲ、グリーンアノール。ペットとして島に持ち込まれたが、島固有の昆虫を食いまくり絶滅に追いやっている。


110501小笠原母島メグロ

早川さんの農園にも小鳥の水場があった。やっとここで母島にしかいない鳥、メグロを撮ることができた。雀くらいの大きさで、名前のごとく目の周りが黒い。


110501小笠原母島の夕暮れ

お話をうかがっているうちに日が沈んだ。南国の日暮れは暗くなるのが早い。あ〜、充実した一日だった。


次回に続く)





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2011年05月18日

母島最高峰・乳房山登頂〜小笠原諸島の旅(6)

5/2 母島・乳房山〜脇浜

前回の続き)

110502小笠原母島ガスの朝

宿の隣の民家越しに見える山は霧にかすむ。今日は山頂からの海の眺めが有名な、母島の最高峰、乳房山(463m)に登るのに...


110502小笠原母島ロース記念館

まっすぐ登山口に向かうつもりが、道に迷ってロース記念館に来てしまった。ついでに見学する。明治2年頃に母島に住んだロルフスさんが発見した「ロース石」で建てられた小屋だ。砂糖の物置だったらしいが、今は生活用品などが展示された郷土資料館になっている。


110502小笠原母島乳房山登山口 紆余曲折、乳房山登山口に到着。登山口が2つあり、奥の登山口から乳房山山頂を打って、手前の登山口に戻る西回りルートが水平距離が短く、推奨されている。
真面目に歩いて3時間半くらい。

110502小笠原母島乳房山の登山道は森の中

細い尾根に沿って登り始める。母島の森の道。道は整備されているが、せめてジョギシューは履いていこう。昨日の石門と同じように絶え間なく鳥のさえずりが聞こえる。ウグイスが多いが、もちろんメグロもいる。


110502小笠原母島かたつむり

母島といえばカタツムリ、カタツムリと言えば母島。母島には陸産貝類(カタツムリの仲間)が50種類以上生きている(あるいは生きていた)。そしてそのほとんどが小笠原の固有種だ。父島のカタツムリはほぼ絶滅したが、母島にはまだたくさん見られる。


110502小笠原母島乳房山タコノキの森

道を歩いていると次々と植生が変わる。これは小笠原固有種のタコノキの森。


110502小笠原母島乳房山ガジュマル

森が暗くなったな、と思ったらどでかいガジュマルが現われた。一本のガジュマルからカーテンのように無数の枝(根?)が垂れ下がり、そのガジュマルのカーテンに囲まれてホールのようになっている。きっと木の精っていうのはこんな木に住むのだろう。

ガジュマルはもともと小笠原にはない外来種で、牛の木陰を作るために植えたらしい。ガジュマルがあるところは昔、家があったところとのことだ。


110502小笠原母島乳房山シダの森

乳白色の濃い霧が塊になって次々と風で運ばれてくる。雨は降っていないのに木の葉はびっしょり濡れて、道はドロドロして滑る。この湿気でシマオオオニワタリをなどのシダが生きることができる。


110502小笠原母島乳房山はしご

ガイドブックにのっていたはしごに到着。頂上まであとわずか。


110502小笠原母島乳房山山頂1 はしごからすぐ、蒸し暑さで汗びっしょりになりながら、乳房山頂上到着。茂みのなかの山頂。

110502小笠原母島乳房山山頂2

そして...絶景と言われる青い海は...どこ?白い景色を眺めながら弁当を広げる。


次回に続く)



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2011年05月19日

サメの浜辺〜小笠原諸島の旅(7)

5/2 母島・乳房山〜脇浜

前回の続き)

110502小笠原母島乳房山尾根コース

下りは乳房山山稜線の道を下りる。開けた尾根からは紺色の海が眺められる...とパンフレットにあった...

この山稜線の道はなだらかで階段も整備され歩きやすい。ぬかっていても歩きやすいのでやはり下山向きだ。


110502小笠原母島乳房山塹壕 開けた尾根道が終わり、森の中を歩く。ところどころに大きな穴が口をあける。中は真っ暗だが、懐中電灯を照らしてみると部屋のように掘りぬかれ、通路はいくつも枝分かれし、光の届かぬ闇に続いている。これは太平洋戦争で島の防衛のために掘られた壕だ。

110502小笠原母島乳房山の板根

これは「バンコン」。カタカナで書くとなんのことやら分からないが、漢字で書けば一目瞭然、「板根」。つまり板のような根だ。母島の森の木々を支える地面は、隆起した石灰岩に薄く積もった土壌。根を深く張ることができない。しかしながら台風の風は強い。そこでこの木は板のような根を進化させ、幹を支えている。


110502小笠原母島脇浜なぎさ公園

2時に山を下り、せっかく小笠原に来たのだからと海に行く。港の横に脇浜なぎさ公園という防波堤に囲まれた穏やかなビーチがあり、シュノーケリングもできるという。しかし、ここも白い世界。おまけに寒い。水着を着てシュノーケルを持った私は何か場違い。


110502小笠原母島脇浜なぎさ公園のネムリブカ

それでも意を決して海に入る。ひえ〜っ、水が冷たくて膝までしか入れない。そして...そこにはサメがうようよ...サメの浜辺だ。このサメはネムリブカというおとなしいサメだが、それでもサメと泳ぐのはあまり気分が良くない。


110502小笠原母島脇浜なぎさ公園のカツオドリ

泳ぐのを早々にあきらめ防波堤を散歩する。防波堤の先っぽにカツオドリがとまっている。近づいても逃げない。さすがに手を伸ばせば届くくらいまで近寄ったら、あわてて飛んでいった。しかし、この完璧なまでの無表情、ちょっとこわい。


110502小笠原母島漁港で水揚げ

あまりの寒さに一時間ぐらいで切り上げ、宿に戻る。途中、港を横切って港の施設の中の様子をうかがう。そこには活きのいい高級魚がごろごろ。今晩、夕食にでないかな〜。


次回に続く)



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2011年05月21日

潮が引き道が現れる蓬莱海岸〜小笠原諸島の旅(8)

5/3 沖港〜蓬莱根海岸〜小富士〜南崎〜沖港

前回の続き)

110503小笠原母島南線 母島を堪能するために数々のビーチを訪ねつつ最南端まで歩いていこう。9時に一本しかない都道を南に向かって歩き始める。1日に2回、乗り合いタクシーが都道終点まで走っているが、ビーチでのんびりするには時間が合わない。
天気は霧。でも蒸し暑い。おまけにアップダウンも激しい。トレッキングシューズからサンダルに履き替え歩き続ける。

110503小笠原母島メグロ

道の両側はほとんど森。メグロが飛び交っている。地球では母島にしかいないが、母島ではどこにでもいるメグロ。メグロだけでなく青いムクドリなどたくさんの鳥が鳴き、飛び交っている。そして、グリーンアノールも道端をはいまわっている。


110503小笠原母島南先遊歩道の入り口

1時間弱で南崎遊歩道の入り口に到着。霧が切れ、青空が見えてきた。


110503小笠原母島森の中の南崎遊歩道

遊歩道に突入。そこはうっそうとした森に囲まれた山道。あわててサンダルからトレッキングシューズに履き替える。鳥の声はますます賑やかで、水場では何羽ものメグロが水浴びしていた。


110503小笠原母島南崎遊歩道に花が落ちている

道に白い花が落ちている。島の固有種?花の咲く木を探して上を見上げるが、なぜかどこにも見当たらない。


110503小笠原母島万年青浜

遊歩道を歩き始めてすぐに万年青浜(おもとはま)。この岬の周りがシュノーケリングポイント。この展望台からも澄んだ海に魚が泳いでいるのが見える。


110503小笠原母島南崎遊歩道の唐茄子海岸への道標 この遊歩道は立派な道標が各所に整備されているが、なぜか唐茄子海岸への道標は朽ちている。パンフレットに解説もない。これは行ってみなければ。

110503小笠原母島唐茄子海岸

時に藪に消える沢筋の踏み跡をたどり、蜘蛛の巣に引っかかりながら、およそ10分で海に出た。ゴツゴツとした黒い岩場に挟まれた、波の荒い男性的な海岸。母島の海岸はそれぞれとても個性的だ。


110503小笠原蓬莱根海岸

唐茄子海岸の次は、本日の目的の一つ、誰もがぜひ行くべきと言う蓬莱根海岸に到着。ここには、潮が引いたときだけ道が現われ、陸とつながる島、蓬莱根があるという。今は11時。干潮は正午過ぎなので、もう十分潮は引いているはずだが...島はいずこ?


110503小笠原母島蓬莱根が見える

右側の崖沿いに濡れた磯を歩き、岬を回りこむと真っ白な砂浜で陸とつながれた島が見える。あれに違いない。


110503小笠原母島蓬莱根海岸の潮溜まり

磯の潮溜まりをのぞいてみる。小さな潮溜まりにもシャコ貝、珊瑚、蟹、ギンポとたくさんの命があふれている。


110503小笠原母島蓬莱根のビーチ

崖に沿って歩き、蓬莱根のビーチになんとか到着。確かに潮が引けば歩いていける。ただし、滑る。滑ったら海にドボン。そして、打ち寄せる波しぶきがかかる。波が引いた瞬間を狙って一気に渡る。なので、濡れてもいいようにして行くべき。

浜はパウダーのように細かい珊瑚砂。時を忘れた高角砲(たぶん)の残骸が波打ち際に静かに横たわる。パラダイスってこんな感じ?靴を脱ぎ、のんびりとおにぎりを食べる。


110503小笠原母島蓬莱根のシャコ貝1

蓬莱根のビーチの向こうには、岩に囲まれたプールのような穏やかな浅瀬が広がる。バシャバシャと膝まで水に入り海の中をのぞく。なぜかシャコ貝がそこにもここにもあちこちにいる。不思議な色をしてるな〜。


110503小笠原母島蓬莱根のシャコ貝2

こちらのシャコ貝は目が覚めるような青。他にも色々。なんでこんなにいろんな色なんだろ〜。

次回に続く)



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2011年05月22日

日本最南の富士山登頂〜小笠原諸島の旅(9)

5/3 沖港〜蓬莱根海岸〜小富士〜南崎〜沖港

前回の続き)

110503小笠原母島南崎遊歩道タコノキの森

蓬莱根海岸でのんびりと1時間ほど過ごし、また南崎遊歩道に戻る。遊歩道を覆う森の木々は目まぐるしく変化する。これはもうおなじみ、タコノキの森。タコノキは沖縄で見られるタコノキ科のアダンと近縁種で、タコノキは小笠原の固有種なのに対し、アダンは南西諸島から東南アジアまで広く分布している一般的な木。で、なぜアダン科じゃなくてタコノキ科と名付けたのだろう?


110503小笠原母島南崎遊歩道オガサワラビロウの森

そしてお次はオガサワラビロウの森。名前の通り、これも小笠原の固有種。


110503小笠原母島南崎小富士のはしご 南崎への道を右に分け、5分ほど登るとハシゴが現れる。これを上がれば日本最南の富士(と名のつく山)、小富士の山頂だ。山頂直下にハシゴがあるのは乳房山と同じパターンだな。

110503小笠原母島南崎小富士山頂 ハシゴを登ると...そこは白い世界。乳房山と同じパターンだ。何にも見えん。山頂の写真を撮ろうにも山頂を示すプレートもない...。
とりあえず残りのおにぎりを食べつつ霧が晴れるのを待つ。

110503小笠原母島小富士から鰹鳥島

30分くらい待っていると、海の霧が晴れてポツリポツリと鰹鳥島から平島へと続く島々が見えてきた。海は青く、激しい潮流が渦巻いているのが見える。ちょうどそのとき、女の子がひとり登ってきて、きれいですね〜と海を眺めていた。タイミングがいいね〜。午前中のははじま丸でやって来て、その足でここまで歩いてきたそうだ。元気だね〜。


110503小笠原母島小富士から来た道

北側も晴れてきた。歩いて来た道はこの森の中、海沿いにつけられている。点々と頭を出しているオガサワラビロウがとても小笠原っぽい。

110503小笠原母島小富士から南崎

眼下にやっと南崎が見えてきた。母島に来たら必ず行くべきと言われる美しい海岸。岬に囲まれた穏やかな入り江にはサンゴ礁が発達し、珊瑚砂の白い浜が海を縁取っている。霧のため、海の色がくすんでいるのがちょっと残念。さて、行くか!


110503小笠原母島南崎海岸

南崎。透き通った青い海。珊瑚砂の白い浜。入り江の入り口に浅瀬があるため、潮が引いている今はほとんど波が入ってこない。広い浜辺に人影はまばら、と言うか5人しかいない。静かでいいな〜。シュノーケリングの道具を持ってきたのに水着を忘れてしまった間抜けな私は、とりあえずTシャツだけ脱いで海に入る。陽射しが強く暑いんだけど、水はちょっと冷たいな〜。


110503小笠原母島南崎から小富士

これがさっきまでいた小富士。真っ黒い山に洞窟が虫食いのように走っているのが面白い。浜辺でチャプチャプと1時間ほど遊んで去る。ズボンがびちゃびちゃだがすぐ乾くだろう。


110503小笠原母島ワイビーチ

ついでに南崎の隣にあるワイビーチによる。小さな入り江の小さな浜。誰もいない。ワイビーチの「ワイ」は「ホワイト」のなまったものだそうだ。確かに浜の砂は白いが、水の中は黒い。


110503小笠原母島都道最南端 帰りは来た道をひたすら戻るだけ。途中、遊歩道を横にそれ都道最南端に寄る。集落から乗り合いタクシーで来るとここで下ろされる。乗り合いタクシーで帰るときはここで乗る。歩いて集落まで戻る私は、遊歩道に戻りひたすら来た道を歩く。

次回に続く)



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