2011年08月01日

新鮮な夏の室堂〜薬師岳(5)

7/18 五色ヶ原〜龍王岳〜一ノ越〜室堂

前回の続き)

110718室堂と剣岳

雪渓を渡りきってホッとしたところで一休み。そしてその後は道が良いこともあり、登りがゆるいこともあり、ずんずんと歩き続ける。

龍王岳をすぎて一ノ越への下りが始まる。斜面にそってお花畑が広がり、その向こうに雷鳥坂の急登が立ち上がり、その稜線の奥には剣岳が頭を見せている。それにしても雷鳥坂はすごい急坂だな。俺はあんなところをスキーを履いて登っていたのか...室堂は雪の時期に毎年のように来ているが、雪のない室堂は小さい頃の観光旅行以来なので、新鮮な驚きに満ちている。


110718一ノ越から雄山

一ノ越山荘まで下りてきた。ここは人で満ちている。雄山に続くザレの道に蟻の行列のように人が取り付いている。

東一ノ越へのルートを見ると、やっぱり雪の詰ったルンゼで分断されている。おまけに雪渓に踏み跡はあるものの、しっかりとしたステップではなく滑りそうだ。迷うことなくお気楽に室堂に下山する。


110718一ノ越から室堂へ下る

あ〜、室堂への道は思ったほどお気楽でない。いつもはスキーで10分もかからず下るのに...。コンクリートで固められた石畳の蛇行した道を駆け下りる。つま先が痛〜い。

子供たちが楽しそうに登ってくる。このなかから明日の山ヤ、いや、山ガール、山ボーイが生まれるのだろうか。


110718大観峰ロープウエイ 室堂からトロリーバスで大観峰へ。11月の連休のアルペンルートはいつもすごい混んでいて、1本ロープウエイを逃すと到着が1時間遅れることも珍しくない。そこで、みんなスキーを担いで駅と駅の間を走っての熾烈な競争になる。でも夏はみなさんのんびりしていて、ゆったりと乗れる。
大観峰から黒部平までは日本唯一の駅と駅の間に一本の支柱もない珍しいロープウエイだ。

110718黒部ダム観光放水

黒部平から黒部湖まではケーブルカー。そしてトンネルをぬけるとそこは黒部ダム。ダムから大迫力の観光放水をしていた。冬には決して見られない姿。




ダムの上では中国語をそこここで聞くことができた。地震で足が遠のいた、海外からの観光客もボチボチ戻ってきたようだ。


110718大町温泉郷 黒部ダムからトロリーバスに乗って扇沢到着。それにしてもアルペンルートの交通費は高い。扇沢に出ないで富山に出てぐるりとまわって帰ったほうが安かったかも。
扇沢からギュウギュウの大町行きバスにゆられ、途中の大町温泉郷で自分ひとり下りる。もちろんここで温泉に入るためだ。それにしても、他の乗客の皆さんはあんな汗臭いばっちい姿で電車に乗るんだろうか...

(薬師岳 完)

今回のコース






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2011年08月18日

劒岳<ちょっとだけ点の記>〜剱岳(1)

8/14 扇沢〜室堂〜剱沢キャンプ場

深田久弥の「日本100名山」の第48峰として、あるいは新田次郎の小説「劒岳<点の記>」の舞台として有名な剱岳に初挑戦。まず、「劒岳<点の記>」で柴崎測量官と長次郎が登った、長次郎雪渓に入り、そして途中から八ッ峰上部の縦走をして、北方稜線から山頂に至る、いわば<ちょっとだけ点の記>ルート。そして翌日、別山尾根の一般道から北方稜線にぬけるルートをとる。


110814扇沢アルペンルートチケット売り場 扇沢の駐車場で夜を明かし、黒部ダムへの始発バスの30分前に切符売り場に行く。そこにはすでに長い行列が...。出遅れると何時に室堂に着くかわからないので、切符を買ってすぐに改札の列に並ぶ。

110814室堂みくりが池

始発のロープウエイには乗り損ねたものの、まあまあ順調にアルペンルートの乗り物を乗り継ぎ、9時前には室堂を発つことができた。


標高2500mの室堂の空気はすがすがしい。下界のじめっとする暑さとは無縁だ。空は青く晴れわたり、空を映す、みくりが池も青く澄んでいる。


110814室堂地獄谷

高山植物が咲き乱れる室堂から北へ下ると、荒涼として草木の生えぬ地獄谷。いたるところから亜硫酸ガスを含む白い噴煙が湧き上がり、岩は硫黄で黄色く染められ、そして目や喉がピリピリ痛む。


110814雷鳥坂を登る 称名川を渡り雷鳥坂を登る。ここはスキーで何度も登っているが、歩いて登るのは初めてだ。スキーより疲れるし、おまけに暑い。先月の薬師ほど気温は高くないが、相変らず日差しは 強烈だ。

110814雷鳥坂の花

汗をかきかき急登を行く。ちょっと足を止めて、足元のハクサンイチゲを撮る。


110814花畑の向こうに雄山を臨む


雷鳥坂の上部はお花畑だ。その後には雄山と白い夏の雲。


110814リンドウ

別山乗越の直下には白いリンドウが群生していた。


110814剣御前小舎 立山の主稜線上にある別山乗越に到着。ここには剣御前小舎があって、多くの登山者が休んでいる。さて、今日の登りは終了。室堂から雷鳥沢に沿って登ってきたが、あとは剱沢に沿って下るだけだ。
峠を吹き抜ける風が、汗をかいたシャツに冷たい。

110814別山乗越から八ッ峰

別山乗越から剱岳を眺める。剱岳はガスの中で頂を見ることができないが、そこから派生する鋸のような八ッ峰の下半分が見えている。明日行くのは上半分だ。


110814剣沢を下る


剱沢の左岸につけられた道を緩やかに下る。剱沢にはまだたっぷり残雪があり、雪が引いた場所はお花畑になっている。


110814剣沢の雷鳥


あっ、雷鳥だ。油断なくあたりを警戒するメスがいる。おそらく近くに雛が...と探すと、親鳥の足元の草がそわそわと動いている。姿は良く見えないが雛に違いない。


110814剣沢キャンプ場と剣岳


剱沢のサイト場が見えてきた。ガスはすっかり晴れ、幾多の岩壁や岩峰をまとった、大きく荒々しい剱岳が姿を見せている。いや〜、ロケーションがいいサイト場だな。


110814剣岳キャンプ場 1時過ぎに剱沢キャンプ場到着。すでにこの混雑。さっさとテントの場所を確保して、今日はほとんど何もしていないのにビールで乾杯。
水もトイレもしっかりある快適なサイト場だ。だが、6時過ぎにやって来て9時過ぎまで騒いでいる、常識知らずの不心得者(不心得パーティー?)がいる。メジャーな山では避けられない宿命なのか...

次回に続く)



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2011年08月19日

八ッ峰上部縦走〜剱岳(2)

8/15 剱沢キャンプ場〜長次郎雪渓〜五六のコル〜八ッ峰〜剱岳〜剱沢キャンプ場

前回の続き)

今日は長次郎雪渓から八ッ峰上部を縦走し、剱岳を踏んでまたキャンプ場に戻る。順調にいっても10時間ほどかかる長丁場、しかも午後にはひと雨あるとの予報だ。


110815長次郎雪渓夜明け前 2時に起きて3時ちょうどに出発。夜明けはまだ遠いが、月明かりのおかげで迷わず歩ける。キャンプ場から硬くしまった剱沢の雪渓をアイゼンをつけて下る。
平蔵谷、源次郎尾根の末端をやりすごすと左手に長次郎谷の出合だ。谷の長さの割には、源次郎尾根と八ッ峰に挟まれた入り口は狭い。傾斜は思ったほど強くなく、10本爪の軽アイゼンで難なく登れる。

ふと顔をあげると、正面に熊ノ岩が見えていた。

110815夜明けの長次郎雪渓を振り返る


振り返ってかなりの標高差を登ってきたことに改めて気付く。はるか上に見えていた八ッ峰の稜線もすぐそこに見える。


長次郎谷はそれほど傾斜はきつくなく登りやすい雪渓だが、岸にはいくつかシュルンドが開き、また、ときには漬物石くらいの落石が、雪の上をものすごいスピードで転がり落ちてゆく。十分注意が必要だ。それにしても後のレンズ雲が気になるぞ。天気の崩れは早いかもしれない。


110815長次郎雪渓熊岩

今回は八つ岩峰が連なる八ッ峰の上部、第六峰から登って七、八峰と縦走し剱岳の主稜線に出る。八ッ峰ではいちばんやさしいルートだ。熊ノ岩の右手に登り口がある。


ここでやっと太陽が姿を現した。剱岳北方稜線の岩々が朝日に染まる。


110815八ッ峰五六のコルへ

雪渓を離れ、アイゼンを脱ぎ、五峰と六峰のあいだの五六のコルを目指す。雪渓を離れたとたんに暑くなってきた。


110815八ッ峰のオコジョ

岩の上をチョコチョコ走り回っているやつがいる。オコジョだ。そちらには行かないから安心してくれ。


110815熊ノ岩のサイト場


五六のコルからは熊ノ岩の上が良く見える。岩と言っても実際は丘と言ったほうが大きさのイメージが近い。岩の上には平らなところがあり、テントが張れる。またこの岩の上には溝があって雪解け水も流れている。すばらしいテントサイト(本当は幕営禁止だけど...)。ここにテントを張って剱岳周辺のクライミングを楽しむクライマーが多い。


110815八ッ峰六峰の登り

さて、コルから六峰の登攀開始。ガイドブックには「登る」としか書いていないが、立派な岩場だった。しかも、今シーズンは全く岩に触れていないので不安...。確かに難しいところはないが、おそらく滑ったら命はない。念のためロープを出して、さらにトップをお願いする。


110815五六のコルと立山


2Pで岩場終了。五六のコルを見下ろす場所で写真を撮る。コルの向こうは今朝登ってきた長次郎雪渓、そしてその向こうには立山。日差しは強いが適度な風があって心地よい。


110815六峰Cフェースの頭

六峰山頂手前のCフェースの頭。たった今Cフェースを登ってきたクライマー達が、登攀の充実感を味わいつつのんびり休んでいる。


110815八ッ峰六峰の懸垂下降 六峰からの懸垂下降で下る。八ッ峰と言いつつも、実際は稜線は細かくアップダウンを繰りかして、いくつもの岩の小ピークがある。そして、必然的に懸垂下降を繰り返し、なかなか時間がかかる。

110815剱岳北方稜線チンネパノラマ

写真クリックで拡大

六峰の山頂で休憩。剱岳から北方稜線、八ッ峰、チンネと堂々とした岩のパノラマ。そしてその岩のてっぺんや細いリッジには、必ずと言っていいほど小さい虫のように人が取り付いている。「ビレー解除〜!」クライミングのコールが岩々の間をこだまする。さすが、剱岳、岩の殿堂だ。


次回に続く)




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2011年08月20日

雨の剱岳山頂〜剱岳(3)

8/15 剱沢キャンプ場〜長次郎雪渓〜五六のコル〜八ッ峰〜剱岳〜剱沢キャンプ場

前回の続き)

110815八ッ峰六七のコルへの懸垂ポイントから七峰

六七のコルへの懸垂下降ポイントから進行ルートを見る。板を立てたような岩尾根で、どれがどれだか分かりにくいが七峰、八峰、そしておそらく八ッ峰の頭が見えている。そして七峰の山腹の草付きにトラバースの踏み跡が見える。予定より1時間以上遅れている上に、鉛色の雲が低く垂れ込めてきた。今日は先を急ぎ七峰を巻いていこう。


110815八ッ峰八峰の登り 七峰を巻き、七八のコル、八峰へ急なルンゼをずり上がる。落ちたらタダじゃ済みそうもないが、浮石や岩屑の堆積が多く手のやり場に困る。足元からもザラザラと岩屑が崩れ、後続に気を使う。

110815八ッ峰八峰の懸垂ポイントから頭

八峰から八ッ峰の頭の全体を見る。


110815八ッ峰八峰の懸垂ポイント

八峰から頭の基部まで懸垂下降。クライムダウンする人もいるが、かなり厳しい。50mロープ1本で1mの余裕もなくギリギリで下りた。


基部から八ッ峰の頭はどこから登るものだか、登っていいものだか分からず、と言うか気付かず、池ノ谷乗越へ巻いてしまった。左のザレた鞍部が池ノ谷乗越。


110815剱岳北方稜線池ノ谷尾根の頭の登り

八ッ峰を終了して(六、八峰しか登らなかったが...)剱岳北方稜線に出る。池ノ谷乗越に立つと目の前の岩肌にペンキで上向きの矢印が書いてある。おいおい、ここを登れってか。普通はフリーで登るらしいが、ルンゼの中はかなり立っている部分がある上に、浮石が多くもろい。気休めにザイルを出す。右側のリッジを登るパーティーもいる。


110815剱岳北方稜線池ノ谷尾根の頭の雷鳥

登りきった山頂には雷鳥の親子がいた。我々はかなりヒヤヒヤしながら登ってきたが、彼女たちは涼しい顔をしている。


110815剱岳北方稜線池ノ谷尾根の頭から八ッ峰

登ってきた八ッ峰を見下ろす。空を覆っていた鉛色の雲はもうすぐそこまで来ている。時々、ポツリと冷たいものが落ちてくる。予定を2時間以上オーバーしている上に、履いている靴は、履き古して底がフラットソールになりかけた軽登山靴だ。雨だけは勘弁してくれ〜。


110815剱岳北方稜線池ノ谷尾根の頭から縦走

池ノ谷尾根の頭から剱岳山頂までルートのはっきりしな岩尾根の縦走。岩は濡れ始め、視界はガスに閉ざされつつある。慎重に進む。


池ノ谷尾根の頭から下ると、稜線の左側に、誰もが言及する危ういトラバースが見えてくる。岩峰を細いバンドを伝って巻くのだが、足元は絶壁、壁がちょっとかぶさり気味な上に、バンドに切り込むルンゼを越えなければならない。心もとないシュリンゲが岩壁にぶら下がっている...

躊躇していると、稜線に忠実に上のほうを歩いている人を発見。そちらに進むと難なく岩峰を通過することができた。


110815剱岳北方稜線長次郎の頭トラバース回避ルート 読者サービス。
岩峰を越えて振り返ったところ。踏み跡に沿って真っ直ぐ行くと危ういトラバース。手前でいったん池ノ谷側に回り込み尾根沿いに進むと、トラバースからの踏み跡と合流する。

悲しいお知らせです。バラバラと大粒の叩きつけるような激しい雨が降ってきました...視界も数メートルしかありません。

デジカメをしまう。泣きたくなってきた。


長次郎の頭を巻くルートは3通りあると言うが、全く分からない。上に行ったり下に行ったり、崖に突き当たって戻ったり...。おまけに黒い岩と私の靴の相性が最悪で、ツルツル滑る。ああ、泣きたい。なんとか下にルートが見える岩棚の上に出たので、そこから懸垂下降でルートに下りる。


急なザレを下ると長次郎谷左俣のコルにでた。ここから尾根はやや広くなり、ちょっと滑ったくらいでは死ぬことはなさそうだ。ひと息つく。


110815雨の剱岳山頂 雨の中、黒い岩の尾根を黙々と登る。目の前が開け、ぽこっとした山頂に出た。2999mの剱岳山頂だ。人で混みあう頂きと聞いていたが誰もいない。雨だし、視界はないし、もう3時過ぎてるし...。
デジカメをザックから出し、とりあえず証明写真を撮って、すぐにしまう。

110815剱岳

前剱あたりまで下りてくると雨が止み、ガスが切れて剱岳が姿をあらわした。ここまで来る途中、カニの横バイや長いはしごなど難所があるが、しっかりした鎖が付いているので、雨の中を滑る靴で北方稜線を歩くことに比べたらなんでもない。


110815剱山荘手前の鎖場

日が暮れてきた。しかし、剱山荘が見えている。ゴールはもうすぐだ。行動時間は13時間を超えているが、しっかりした足取りで最後の鎖場を下る。


110815剱山荘

夕暮れの剱山荘に到着。建物はきれい、周囲はお花畑、いい小屋だ。ここから我々のテントが待つ剱沢は目と鼻の先だ。


6時にサイト場に帰還。山岳警察の駐在所に無事下山の報告をする。遅くまでうろうろしている間抜けな登山者状態だ。ロープワークとルートファインディングに時間をかけ過ぎたか。今後の課題。

それはそれとして、さっそく小屋でビールを買って、テントで乾杯!


次回に続く)



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2011年08月21日

そして下山〜剱岳(4)

8/16 剱沢キャンプ場〜室堂〜扇沢

前回の続き)

110816剱沢キャンプ場 朝。重く冷たいガスが山々を覆う。太平洋高気圧が南下し、縁を回る南西の風が山に当たっているせいだ。
今日は剱岳北方稜線縦走の予定だったが、天気も悪く、また昨日テントに戻ったのも遅かったので中止にする。

110816雷鳥平の風景

メンバーと大日岳に行こうかとも話したが、一向に天気が良くなる気配がないので、結局下山することにした。別山乗越を越えると、やっとガスが切れてきて雷鳥平が見えるようになってきた。


110816室堂の湧き水 雷鳥平からリンドウ池をまわって室堂ターミナルに帰ってきた。雪のある時期はスキーで何度も通った道だが、雪がないとアップダウンがある上に、下りも歩かなければならないので長く感じる。
ターミナル前にはおいしい「立山玉殿の湧き水」がある。雪の時期でも掘ればでてくる?
ここから先月も乗った、高価な乗り物を乗り継いで扇沢に戻る...


大観峰でロープウエーを待つ。と、人が乗ったロープウエーがやって来た。いや、乗客じゃなくて、屋根より高いロープの高さに人が乗っている。さぞかし雄大な眺めを堪能できることでしょう。


(剱岳 完)

今回のコース




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