2008年01月04日

アタック、そして敗退〜エクアドル・チンボラソ(6)

6日目 ウインパー小屋〜チンボラソ〜ウインパー小屋〜リオバンバ

080104出発 夜10時に起き(だから正確にはまだ5日目)、痛む頭を抱えながら出発の準備をする。11時半、ウインパー小屋出発、チンボラソ山頂を目指し午後4時くらいまでに下山の予定だ。
真っ暗の中、ヘッドランプの光を頼りにガレた道を稜線に向かって、ガイド5人とメンバー7人でぞろぞろと列を成して登る。見上げれば満天の星空で南十字星が我々を見守っていた。

1時間ほど登ったところでアイゼンを靴につけ、ガイドとザイルを結ぶ。トップがガイド、真ん中に相棒ひとり挟んでラストに私。3人が一直線になって登ってゆく。そこからすぐに凍った土砂の上に氷でコーティングされているようなルートになった。アイゼンがガリガリと音を立てる。滑り落ちそうな凍ったトラバースもあったが、真っ暗なので落ちたらどうなるのかさっぱり分からない。
主稜線に上がってすぐに、最大の難所(難所はないって話だったのに...)、氷河の末端の泥まじりの氷壁があった。真っ暗なので見上げてもどこまで続いているか分からない。セカンドが登るのを見ていると上から登って来い!と声をかけられたのであわてて取り付く。横で誰かが追い越して行く、氷のかけらが飛び散る、そして上ではガイド同士が怒鳴りあっている、おまけにセカンドが落ちてきて、私のピッケルを踏む...真っ暗なのにやたら騒然とした雰囲気の中、アイゼンのフロントを蹴り込みながら壁を登っていった。
数分で壁を登りきると、頂上まで続く氷河の上にいた。ここからは氷とグサグサの雪が交互に現れる斜面をただひたすら登って行けばいい。空もだんだん明るくなってきた。

緊張が解けた瞬間、急に足に力が入らなくなってきた。シャリバテの感覚だ。いつも山に登るときには1時間にあんぱんを1個食べるくらい行動食を大食いしているが、今日はもう5時間以上何も食べていない。ペースが極端に落ちるが、現地ガイド氏は容赦なくザイルを引っ張り、思わずひざを着く。ガイド氏に、腹が減ったから休もうや、と言いたかったが、ここでこのガイドは英語がほとんどできないことを知った。あ〜腹減った。

なんとか止まってもらって、チョコレートを口いっぱい頬張るが、ガイド氏は私が口にチョコレートを入れた瞬間にまた引っ張り始めた。口をモゴモゴしながら引きずられるように登って行くが、チョコレートのせいで息ができない。急に息苦しくなり頭痛が激しくなってきた。歩いていると意識がふっと途切れそうになる。仕方がないので先に行っている日本人ガイド氏を呼び戻し、セカンドを連れて先に行ってもらった。

とりあえず人の足は引っ張らずに済んだ。ここで休んで様子を見たかったが、ガイド氏に説明してもただ「Decide! Decide!」を連呼するばかり。仕方がないので悔しいが下ることにする。到達高度およそ標高6000m。

080104頂上へ この斜面の先にチンボラソの頂上がある。さっきまで近くに見えていた頂上が急に遠くなった。降り始めて10分もするとチョコが消化されたのか、体が温かくなり力が入るようになってきた。振り返って写真を撮る。明るくなって分かったのだが、ただ登るだけと思っていた氷河には、至るところにクレバスが口をあけていた。

080104氷壁 登るのに苦労した氷壁を、懸垂で降りて〜、と思いながら苦労してクライムダウンする。と、ガイド氏は懸垂下降で降りてきた。
壁は垂直ではなく、高さは10mちょいくらいだろうか。降りたところがくずれやすい砂の斜面になっていて、滑ったらちょっと危ない。

080104チンボラソ 主稜線から小屋のほうにちょっと降りたところから、チンボラソを振り返る。今頃みんなあのピークの上に立っているのだろう...

080104氷河 砂の斜面に見えているが実は懸垂氷河の末端だ。稜線から小屋へ下る道は、氷河から落ちてくる砂礫に覆われていて踏み跡が定かでなく、迷いやすい。おまけに常に落石がヒューン、ヒューンと音を立てて目の前を飛んでゆき、時にパシッ、とザックに当たる。これはメットがいるだろう!

しかし、登っているときには渋い顔をしていたガイド氏は今はニコニコしていて、私のことを「Oh, Friend!」などと呼んでいる。一緒にリタイアして下山している人が転んでも、鼻歌を歌いながらただ見ている。ちょっとムカつく。

080104Whymper小屋 10時半くらいに無事に小屋まで下りてきた。ガイド氏とは最後まで意思の疎通がはかれなかったが何はともあれ無事に下山したので、ガイド氏に感謝し握手して私のチャレンジは終わった。
小屋はみな出払っていてひっそりとしている。留守番のドライバー氏がお茶を入れてそっと手渡してくれた。彼はガイドになりたいと言っているが、きっと良いガイドになるだろう。

080104チンボラソ夕景 みな無事に下山し、リオバンバのホテルへ戻る。途中で車をとめ、みんなで夕焼けの写真を撮る。これが最後のチンボラソの眺めになるかもしれない。さようならチンボラソ。
下山しても頭痛がおさまらない、それどころか熱まででてきた。高度障害ではなく、単に風邪をひいただけか?






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2008年01月05日

キトへの帰途...〜エクアドル・チンボラソ(7)

7日目 リオバンバ〜アンバト〜キト

0801054月21日公園 登山が終わったのでもう日本に帰るだけだ。今日はキトへ向かう。
キトへ向かう前にリオバンバの4月21日公園によった。新年のお祭りをやっているようでとても賑やかだ。豚の丸焼きの屋台や景品が当たるゲームの出店がでていた。この公園からチンボラソが見えるということだったが、今日は曇っていてわずかにすそ野が見えるだけだった。

080105ダンサー 広場でこれからダンスだかパレードだかがあるらしい。陽気なお兄さん達とセクシーなおねえさんたちをパチリ。

080105クイ キトへの道すがらアンバトで昼食をとる。メニューはエクアドルの名物、「クイ」だ。ぶっちゃけネズミの丸焼きである。足をつかんでかぶりつく。皮がぱりぱりして香ばしい。肉にはちょっと臭みがあるが脂はあまりない。微妙な味だ。

080105パレード あちこちで新年のパレードをやっていた。少女たちが楽しそうに踊っている。写真を撮るために車を停めたら、我々のせいで大渋滞になった。

080105ゲバラ ひたすらパン・アメリカン・ハイウエーを北上する。店の看板からバスの車体にまで、そこかしこで彼に出会う。チェ・ゲバラだ。彼は南米縦断旅行で共産主義への傾倒を強めたと言われる。私はこの旅で何を得たのか?

080105寿司 ホテルに着いてひと風呂浴びて夕食に出かけた。現地の世話人の方の粋なはからいで最後の夜はNOEという寿司バーで日本食だ。私は日本食にはこだわらないのだが、体調が良くないときにはやっぱり一番おいしく感じる。特にアボガド・アナゴ巻きがおいしかった。




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タグ:登山
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2008年01月06日

世界遺産第1号散策〜エクアドル・チンボラソ(8)

8日目 キト(独立広場、サン・フランシスコ教会、ラ・コンパニーア教会、アルベルト・メナ・カアマーニョ美術・歴史博物館、ラ・メルセー教会)〜アトランタ

080106ピチンチャ 朝からみごとに晴れわたり、初めてピチンチャの全貌がはっきり見えた。と言うのも、いつもキトの街は朝夕は濃い霧に覆われていて何も見えなかったからだ。

080106表通り 夜の飛行機でアトランタに向かうので、それまでせっかくなので世界遺産第1号の旧市街を徹底的にぶらぶらして時間をつぶす。日曜日なので表通りは人でいっぱいだ。でも一歩路地に入ると歩いている人はほとんどなく、へんなおじさんが近寄ってきたりする。ご注意。

080106ラ・カンパーニャ教会 ラ・コンパニーア教会はカテドラルのすぐそばに建っている。外からはうかがい知れないが、中には7トンの金を使った黄金の祭壇があり、天井まで見事にキンキラキンだ。残念ながら内部は撮影禁止。日曜日の午前中なのでミサをやっていた。

080106アルベルト博物館 ラ・コンパニーア教会の隣にアルベルト・メナ・カアマーニョ美術・歴史博物館がある。主に現代美術と植民地時代以後の資料が展示されているが、英語の説明もあまりなく面白くない。それよりも2階にエクアドル国内の様々な場所で撮影された航空写真による沢山のパノラマ写真がある。アマゾン源流部あり、チンボラソを含む火山帯のパノラマありでとても興味深く美しい。こちらはおすすめ。

080106ラ・カンパーニャ教会2 博物館の屋上に上がることができる。そこからはキトの街の様子が良く分かる。隣のラ・カンパニーア教会の壁面の彫像も間近で見ることができる。

080106ファーストフード 青い壁画が美しいラ・メルセー教会に行った後、昼食のためにバスターミナル近くのエクアドル・ファーストフードの店に入った。豆のカレーのようなものに鳥のグリルがついたものを食べたが、はっきり言ってまずい。特に米がまずい。長粒米で米が全部割れるような炊き方をしている。
大きな店の前には警備員が立っていることが多い。やはり治安が悪いのだろう。

080106ポスター エコビアでホテルに戻る。バス停の近くでこんなポスターを見つけた。チェ・ゲバラの絵の影響を受けているように思える。コンサートのチラシらしい。

20時半にはキト空港に着いた。空港で土産を買おう思っていたのだが、まだ飛行機が発着しているにもかかわらず、土産屋はもう閉まっていた。ガラパゴス・コーヒーが欲しい...もっと働けエクアドル人!

アトランタ行きの飛行機は直接アトランタには向かわず、グアヤキルを経由する。12時を過ぎているにもかかわらず、機内アナウンスにたたき起こされグアヤキルで全員下ろされた。また荷物検査をされみんなでぼやきながら搭乗ロビーに向かうと、なんと土産屋が開いているではないか!我々は棚にあった一番安いガラパゴス・コーヒーを買い尽くした。

改めてアトランタ行きの飛行機に乗るとそれは、キトから乗ってきたものと同じ機体だった。どうなってるの?




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2008年01月07日

北極海を眺める〜エクアドル・チンボラソ(9)

9日目 アトランタ〜アラスカ上空

080107アトランタ 寝不足のままアトランタに到着。でも日本へは機内でもう1泊しなければならない...トランジットでメンバーと引き離され税関のカウンターに連れて行かれた。エクアドルでの旅行の目的をしつこく聞かれた後解放された。どうなってるんだ?
でもちょっとご機嫌。なぜなら今回の旅で初めて飛行機の窓際に座れたからだ。朝日に照らされたアトランタの街をガラスに顔をくっつけるようにして眺める。

080108北極海 日本へは14時間のフライト。もう半分来ているのにまだアメリカにいる。飛行機はアトランタから弧を描くように北上し、カナダ、アラスカを通ってカムチャッカの北から南下し日本に至る。
窓の日よけを開けると眼下に氷原が広がっていた。白夜の薄明かりに照らされた北極海だ。実際は海氷が荒々しくぶつかり合う海なのだろうが、機上から見れば青く静かな世界だ。今度はバローに行って間近で見たいものだ。




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タグ:登山
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2008年01月08日

ただいま日本〜エクアドル・チンボラソ(10)

10日目 アラスカ上空〜成田

080108昼食昼飯の時間になった、らしい。が、外はずっと明るかったのでよく分からない。時計だけが日本の昼であることを示している。昼食が運ばれてきた。いったい昨日から何食機内食を食べただろうか、よく覚えていない。ただ、メニューが日本からアトランタに向かうときと同じことは分かった。
デルタ航空は酒が有料なのでソフトドリンクをいろいろ頼んで気分転換している。オレンジジュース、りんごジュース、クランベリージュース、コーラ、ジンジャーエール、スプライト、...

080108下北半島 とうとう日本に帰ってきた。ただいま日本。
飛行機からでも下北半島に日本の農村風景を見ることができた。

今回、残念ながらチンボラソの山頂を踏むことができなかった。
いろいろ原因は考えられる。出発前に忘年会や仕事で不規則な生活が続いていたこと、ガイドとザイルを結ぶ登山は初めてだったので、自分のペースをつかめなかった事。そして、いつも行動食を食べ過ぎているために、空腹に耐えられなかったことだ。

これらの失敗を糧に次はもっとうまくやりたいと思う。




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タグ:登山
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