2008年04月24日

親友を見送る〜ネパール・Island Peak(6)

6日目 NAMCHE BAZAAR〜TENGBOCHE(タンボチェ)〜Dewoche(デボチェ、3770m)

昨日体調を崩した友人は念のためにチャーターしたヘリコプターでカトマンズへ下山することになった。Island Peakに登ろうと決めてからおよそ十年、ここ数年間、同じ時期に長期休暇をとるために連絡をとりあってきて、やっと実現したアイランド・ピークへの挑戦だった。それを思うとかけるべき言葉が見つからない。

080424ナムチェスタート 友をナムチェバザールに残し、隊はトレッキングを再開した。
丘には旅の無事を祈るタルチョが強い風にはためく。

080424アイリス 道端で咲く桜草とアイリスをよく見かける。どちらも日本のものよりも小さく、アイリスの丈は10cmくらいしかない。ゾッキョに食べられてしまったようで、道端にはそれ以外の花はあまり見られない。と言うことは、桜草とアイリスには毒があるのだろうか。

080428寄付 道はトラバースするように山肌に沿って水平に延々と続いている。そして乾燥した地面がところどころ崩壊して、道も崩れているところがある。途中、道を補修するための寄付を集めている人がいた。本当に補修に使っているのかなぁ、と思ったら去年ここを通った人は、明らかに道が良くなっていて驚いたそうだ。お金は有効に使われているようだ。

080424エベレスト2

ナムチェバザールから一つ目の大きな尾根を越えると正面にエベレストが見えてくる。はず...が、ここ数日晴れていてももやがかかっていて、透明度が悪く山がよく見えない。目を凝らすとかろうじて空に溶けていくようなエベレストのシルエットを見ることができた。しかし、写真にはほとんど写っていない。

背後でヘリの音がした。小さな黒い点がだんだん大きくなって、NAMCHE BAZAARのヘリポートに着陸した。友人を迎えに来たのだ。しばらくするとヘリは地面から離れ、山の間をまっすぐに遠ざかっていった。みんなで見えなくなるまで見送った。

080424ムスク MUSKを保護しましょう、とある。MUSKとはジャコウジカのことだ。ジャコウジカは、希少な香料である麝香がとれるために、乱獲され絶滅の危機に瀕している。現在ではワシントン条約で商業取引が禁止されている。

080424子供 子供とおかあ。子供が首にすっごいしがみついている。

080424上り坂 谷に沿った道は、3250mまで実に500mも下って沢を渡る(もったいない)。下りきったPHUNKI DRENGKAで昼食をとり、その後タンボチェまでおよそ600mの急登を登り返す。昼食を食べたあと体調がおかしくなってきた。体がだるく、脂汗が出て、呼吸が苦しくなると同時に指先がしびれてきた。たぶんかなりの熱があるに違いない。美しい石楠花の咲く坂を黙々とただ足を前に出すことだけを考えて登る。気が遠くなりそうだ。天気も雨が降りそうな感じになってきた。ううっ。なんとか写真を1枚だけ撮る。

080424タンボチェ寺院 やっとのことでタンボチェ(3867m)まで登ってきた。ここはチベット仏教の大きな寺院がある。

080424ネットカフェ お寺の横には隣にはなんとネットカフェがあった。ヒマラヤの奥地にネットカフェ...
タンボチェでサイトの予定だったが、サイト場がすでにいっぱいだったので、先のデボチェにサイトを張った。気分が悪いので夕食後すぐにテントに入る。昨日まで2人分の荷物があったテントには私の荷物だけポツリと置いてあった。






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2008年04月25日

悲劇の誕生〜ネパール・Island Peak(7)

7日目 Dewoche〜Dingboche(ディンボチェ、4350m)

それは唐突にやってきた。気分が悪かったので早めに床につきぐっすりと眠っていた。が、夜半を過ぎたところで突然、腹がキュッと痛くなりあわててテントから出てトイレに駆け込んだ。

下痢だった。

トイレから出るとすぐにまたトイレに行きたくなるといった調子で、この夜は朝まで10回ほどトイレとテントを往復した...

080425出発準備 すがすがしい朝だ。が、いつも少食のYさんと昨日の昼食を全部吐いてしまったSさん以外の日本人はみな下痢になっていた。現地人のコックまで下痢だった。悲劇だ。
私も気分は最悪。熱を計ったら37.9度ある。おまけに水のようなひどい下痢で常にお尻に力を込めていないと危ない。
でもいつものようにゾッキョに荷物をくくりつけて出発した。

080425橋 相変らず道は谷に沿ってついている。そしてしばしば橋で対岸に渡る。多くの橋が昨年の鉄砲水で落ちてしまったようで、新しい橋が多い。この橋も壊れた古い橋の上に新しく架けられたものだ。

080425標高4000mごえ

昨日からずっと針葉樹の森の中の道を歩いてきたが、4000mを超えると樹木がなくなり、低潅木と草ばかりになる。森林限界だ。ここからは北アルプスの森林限界線上のような礫やゴーロの台地が続く。

080425谷間 深い谷はまだまだ続く。そして源流にそびえる山々が大きくなってくる。
眺めはすばらしい。しかし、私のお腹は最悪だ。脂汗をかきながら、うつむきながら黙々と歩く。写真もほとんど撮っていない。

080425川を渡る ディンボチェの手前、Tsruo Ogのあたりでまた谷を渡る。ここまでくると谷はだいぶ浅く広くなり、渡るのにも苦労しない。

080425氷河 谷の右側に大きなガレが見える。ヒマラヤのガレ場は大きいな〜、などと思っていたが、これはガレではなくて、Ama Dablam(アマダブラム、6814m)から流れ出る氷河の一番端っこがちょこっと見えているのだった。

080425DINGBOCHE やっと今日の目的地、ディンボチェが見えてきた。荒涼とした大地に大きな街が広がっている。ジャガイモ畑の中にポツリポツリとロッジなどの建物が建っていて、面積はえらい広いが建物は少ない。でも衛星電話もあって立派。
ロッジに着くなりトイレに駆け込んだ。トイレはネパール式の手動水洗(手桶の水で手でお尻を洗う)できれいでよかった。熱が38.5度あって、ガイドさんによく歩けましたね、と感心された。と言うガイドさんも下痢である...




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2008年04月26日

かつてない青空〜ネパール・Island Peak(8)

8日目 DINGBOCHE停滞

080426朝のアマダブラム

朝起きたら晴れていた。それもネパールに来てから最高の青空だ。地平線の彼方まで一点の雲もなく晴れわたり、空気は限りなく澄んで岩壁の凹凸が1つ1つ見えるかのようだ。思わずマミヤ7を持って朝食前の散歩に出かけた。
空はかつてなく爽快だが、私のお腹は今日も不快だ...でも今日は高度順化のためにディンボチェ停滞なので助かる。

080426高所順応

午前中は高度に体を慣らすために、すぐ近くのNagartsang Peak(5083m)に登った。街から稜線に上がるとほぼ180度の展望がひらける。すばらしい。

080426アマダブラム2

みんなゆっくりと斜面を登っていく。私はちょっとでも緊張を解くと危険なくらいお腹がゆるいので、2、3歩進んでは「うっ、」とうなって立ち止まる。1人だいぶ遅れて斜面を登ってゆく。振り返るとアマ・ダブラムが大きい。

080426IslandPeak 帰りは薬に詳しいSさんにもらった強力な下痢止めが効いてきて、なんとか普通に下れるようになった。ずっとうつむいていたが、顔をあげると放牧小屋の上に今回のターゲット、憧れのアイランド・ピークが見えた。

080426訓練 ロッジに戻って昼食をとり、午後からは登攀の訓練をした。メインはユマーリングと下降。下降のほうはザイルの代わりにフィックスロープを使うだけでいつも日本でやっていることと変わらない。ただ、日本での説明会ではユマールで下りると聞いていたのに、ここへきて下降器が必要だと言われる。装備表になかったじゃないか...
ユマーリングは日本では本気で使う機会がないので初めての経験だ。ポイントは中間支点の通過だがやることは簡単。ただ、標高6000mで間違いなくできるかは別の問題。

私と同じくお腹の調子を崩していたYさんが、体力が回復しないので下山していった。また1人、夢を果たせずに帰国してゆく。厳しく、さみしいことだ。




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2008年04月27日

クンブー氷河へ〜ネパール・Island Peak(9)

9日目 DINGBOCHE〜Tugla〜LOBUCHE(ロブチェ、4930m) (→map)

080427朝の氷 今の時期はカトマンズでは日中30℃にもなる。しかし、標高4350mのここDINGBOCHEは肌寒い。昨日ズボンを夏用のペラペラから冬用の内側が起毛された厚手のものに替えた。上着も薄いフリースを着ている。
朝起きてみると小川の水が凍っていた。寒いわけだ。

080427ストゥーパ 今朝は昨日にまして天気がいい。青空の「青」がとても濃くて深い。お腹の調子もまあまあいい。今までの人生で飲んできたよりも多くのビオフェルミンを大量投与しているせいか。
今日はクンブー氷河にあるロブチェを目指す。街の裏の尾根に登ると、旅の無事を祈るストゥーパが出迎えてくれる。これは"仏塔"で、日本では例えば五重塔なのだが、ここでは目玉のあるドームだ。尾根や峠など見晴らしのよいところによく建てられている。

080427cholatse

尾根を越えると牧場のように広い河岸台地を行く。空はどこまでも青く、山は見上げるほど大きく雄雄しい。最高のトレッキング日和だ。Tawoche(6542m)の岩壁がこちらに覆いかぶさってくるように見える。圧巻だ。

080427アマダブラム

振り返れば、すっかりおなじみのアマダブラム。なんど見てもかっこいい山だ。

080427アラカンかな

小さな尾根を越える。正面には壁のように立ちはだかる大きな山。どの山も見上げるようだ。日本の山とは全くスケールが違うので感覚が狂う。

080427Duglha チョラツェ(Cholatse)の尖ったピークを左に見て、大きな沢を回り込むように渡るとそこがTuglha(4600m)だ。ここは開けていて、かつ6000m級の山々に囲まれた最高のロケーションだ。ロッジにはおそらく100人を越える大勢の人がいて、食事をしたり、山を眺めたり、仲間と話したりと思い思いにすごしている。我々もゆっくりランチをとる。

080427エヴェレストメモリアル

Tuglhaを出るとすぐにTuglha Passへの250mの急登が始まる。森林限界線上のゴーロを登っていく感じが黒部五郎岳への登りそっくりだ。5000m近いのでみんなもゾッキョも苦しそうだ。私は試しにPower Breathe のときの呼吸法をしてみたら、頭がクリアーになり体も軽くなった。すごい。
登りきったところがTuglha Pass。急登でよれよれになった人たちが休憩している。

080427クンブー氷河

峠を越えると景色は一変する。ここからクンブー(Khumbu)氷河を歩く。プモリ(Pumo Ri)に向かって灰白色の氷河が真っ直ぐに伸び、その氷河の両側を挟み込むように6000mを越える山々が立ち並ぶ。そして氷河と高山に挟まれた青い空。

080427ロブチェ

2時半には今日のサイトロブチェ(4930m)に到着。ロッジは先客でいっぱいだった。みんなカラパタール、あるいはエベレストBCを目指すのだろう。このコースは本当に人気がある。

080427ロブチェの丘

夕食の前に3人(他のメンバーはTuglha Passの登りでへとへと)で裏山に高度順化の散歩に出かけた。ここは標高5010mで今回の最高点だ。丘からロブチェを見下ろす、そしてその向こうにはクンブー氷河、さらに向こうにはヌプツェ(7864m)が見える。気温は5℃を下回り、風が出てきて寒いのでさっさと戻る。

080427夕食 ロッジがあるときはロッジの食堂を借りて食事をするが、今日はロッジが人でいっぱいなのでキッチンテントを張って夕食をとる。今日のメニューはカレー、それもコックさんが気を使ってくれて日本式のカレーライス。う〜ん、でもネパールのカレーが食いて〜。
ここLOBUCHEは異常にほこりっぽい。氷河や雪の浸食でできた細かい砂ぼこりが常に中を舞っている。サングラスもほこりだらけで水で洗っても落ちない。手も細かいしわの一本一本にほこりが詰まっている。食事前にお湯で手を洗ってみても落ちない、それどころか手が完全に水をはじくので洗っても意味がない。まあ、ここは山なんだからほこりとも仲良く付き合っていこう。




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2008年04月28日

エベレスト展望台カラパタール〜ネパール・Island Peak(10)

10日目 LOBUCHE(ロブチェ)〜Kalapatthar(カラパタール、5545m)〜LOBUCHE (→map)

長い間旅をしてきた気がする。でもまだ10日目で折り返し地点にもきていない。下痢はもう4日目。かなり体力の消耗が激しい。ただ、夜中に5,6回トイレに起きるのも慣れてきて、トイレから戻ればものの数秒でぐっすり眠れる。さらに今回は高度順化が順調で息苦しくて目が覚めることがなく、ぐっすり寝ても起きてから頭が重い程度で済んでいる。

090428ロブチェの朝

今日はエベレストの展望台Kalapattharの丘を往復する、およそ行動8時間の根性日だ。
目を覚まし、テントの外へ出てみれば、静寂の青い銀世界。寒いわけだ。

080428ロブチェを出発

うっすらと積もった雪を踏みしめて、早朝5時半に出発する。気温は-5℃だが、高所のため体の末端の血行が悪く、感覚的には-10℃くらいだ。指先が冷たい。

080428カラパタール 3時間ほどでカラパタール(Kalapatthar)の丘が間近に見えてきた。なんのことはない、Pumo Riの横っちょに付いている黒い岩屑だ。この丘を登るためだけにネパールに来る人も多いが、この貧相な姿にはがっかりさせられるに違いない。
日が出ると瞬く間に積もっていた雪が消えた。さっきまで寒かったのに日が当たると急に暑くなる。

080428カラパタール休憩 ゴラクシェプ(GORAK SHEP)のロッジの後ろが、カラパタールの登山口になっている。ほぼ平坦な氷河を歩いてきたが、高度と下痢のせいかとても疲れた。登山口で休憩。

080428カラパタールに登る なんか疲れがとれないが、丘に向かって登り始める。左手に黒っぽい岩屑の丘がだんだん大きくなる。

080428カラパタール頂上 休み休み、やっとのことで頂上に到着。最後300mの登りは下痢で衰弱した体にはきつい。麓から2時間もかかってしまった。もう少しでくじけるところだった...。その頂上は人であふれていた。本当の頂上は逆層ぎみのちょっとした岩場の先っぽにある。その狭い頂上を両手にストックをもった日本人3人が占領していた。岩場をストックで登るなんて危ないよ。山を知らない人がヒマラヤの山奥に来る時代なのだ。

080428カラパタールからエベレスト

カラパタールの丘はネパール側でエベレストを最も近くで、最も大きく見られるトレッキングポイントだ。エベレストはNuptseやLotseが邪魔をしてなかなか近くでは見にくい。
雪の付いた白いNuptseの左側に黒いエベレストが顔をのぞかせている。そしてその下にはエベレスト登頂の難所、セラック帯、その左側の氷河の屈曲点にはエベレストBCが見える。エベレストBCには色とりどりのテントが無数に見え、まるでGWの涸沢のようだ。

080428カラパタール展望

エベレストにとどまらず、山頂からの景色は360度まさにヒマラヤ!

080428下山 なんとか登頂を果たして足早に下山する。今日は朝から日差しが強く、日焼け止めを塗っているのに顔が痛い。サングラスをしているのに目が痛い。

080428雷鳥 我々の行動食のおこぼれをあずかりに、雷鳥の夫婦がやってきた。グエー、グエーとすごい声で鳴く。こんなガレしかない乾燥した高地で、たくましく生きている。

080428ゴラクシェプ ゴラクシェプのロッジ。クンブー氷河の最奥にあり、ここからカラパタールに登るのが楽だ。

080428ロブチェヘかえる

ロブチェヘの帰り道、荷物を満載したゾッキョ隊とすれ違った。エベレストBCへ向かうのだろう。BCでエベレスト登頂の期を伺う三浦さんに荷物を届けるのかな。

午後から風が出てきた。テントに戻ると中には砂ぼこりが積もっていた。テントの生地をすり抜けてたのだ。すべてがほこりだらけ。ほこりをまぬがれたのはシュラフの中だけ。ここだけは死守しなければ。気休めにテントの前に水をまく。すると水はほこりにはじかれ、水玉となって転がって行った...



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