2010年07月25日

四尾根で日が暮れる...〜北岳バットレス(4)

7/18 お池小屋〜五尾根支稜〜下部フランケ〜四尾根〜北岳山頂〜お池小屋

前回の続き)

100718バットレス四尾根主稜から中央稜

ピラミッドフェースの頭を右に巻くと、中央稜が見えてくる。北岳山頂から急傾斜で落ちる荒々しい大岩壁が目の前に迫る。巨大な怪獣の背を思わせる。


四尾根に出てから一時間半立つが、まだ2ピッチしか進めない。前に数パーティが詰っていて渋滞しているのだ。リードしてきて、ビレー点の直前の支点で前のパーティーが進むのを待っていたら、後から来たパーティーのトップが「ビール、ビール」と叫びながら、ランアウトして追い抜いて行った。こんなのあり?もう酔ってるのか?


100718バットレス四尾根主稜第二コルから富士山

マッチ箱手前の第二コルはちょっと広くなっている。前が全然進まないので、腰を落ち着けて休む。後続のパーティーも追いついてきて、皆で雑談しながらのんびり待っていた。ここは景色が良くて夕暮れ時の南アの山々や富士山がよく見えた。


100718バットレス四尾根主稜第二コルの垂壁 第二コルからマッチ箱へは、グレードXの垂壁がある。トップはその垂壁を直登したが、私はためらうことなく難しいところを右からサクッと巻いてしまった。と、後続パーティーから、いいぞー!と喚声が。簡単なほうに進んで喚声を受けるのは初めてだが、とにかくみんな早く先に進みたいのだ。

100718バットレス四尾根主稜マッチ箱から枯れ木のテラス

マッチ箱のてっぺん、懸垂下降ポイントにやってきた。以前は「マッチ箱」は文字通り四角かったらしいが、今は崩壊して尖峰になっている。ここから懸垂下降してコルに降りる。そこで上部フランケからのルートと合流し、ますます渋滞がひどくなる...


中央稜が近くなる。ガスをまとって重苦しい威圧感がある。


100718バットレス四尾根主稜マッチ箱から振り返る

マッチ箱のてっぺんへのルートは、両側が切れ落ちたリッジで中間支点も乏しい。高度感抜群。


100718バットレス四尾根主稜枯れ木テラス

枯れ木テラスに至るリッジ。ここを越えればもう終わりは見える。しかし、ルート上に人が詰って完全に動かなくなった。フラットソールを履き続けたつま先が痛い、水も残り少ない、そしてなにより北岳東面のバットレスにはとっくに日が当たらなくなっている。日没まであと30分。早く行ってくれ〜!


100718バットレス四尾根主稜マッチ箱

後続パーティーがマッチ箱で懸垂下降をセッティングしている。もはや日差しは高嶺の稜線に残るのみ。日が暮れる。ザックからヘッドランプを取り出し、暗闇のクライミングに備える。


写真終了。なぜなら日が暮れてしまったから...枯れ木テラスまでは残照でかろうじてルート見えていたが、その上の残り1ピッチは完全に真っ暗。ライトの光と闇の中に延びるトップが張ってくれているロープを頼りに登った。登攀終了がちょうど20:00。四尾根に出てから5時間半、ほとんど待ち時間だった。動いてないのに疲れた...


夜の北岳山頂を踏み、チカチカと瞬く街の明かりと夏の天の川をメンバーとボーッと眺める。暑い一日だったがすでに風は冷たい。上着を羽織る。そしてよれよれと肩ノ小屋に下り、コーラーを一気飲みしてエネルギーを充填し、夜道を無事お池まで降りることができた。


テントに戻ると、先に戻っていた仲間が熱い茶を入れてくれた。は〜、沁みる。


次回に続く)





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2010年07月26日

無事に北岳を後にする〜北岳バットレス(5)

7/19 お池小屋〜広河原

前回の続き)

100719お池の朝

昨夜はテントに戻ったのが遅かった。今日は下山だけなので、遅めに起きてのんびりと準備をする。今日も天気はサイコー、北岳も凛々しい。


100719北岳下山樹林の道 広河原まで樹林の道を下る。木陰だけど暑い...。でもこの針葉樹林が南アルプスっぽくていいな。

100719広河原吊橋 広河原の吊橋を渡ると登山は終わる。振り返って北岳に別れの挨拶をする。いろいろあったけど無事に下山できた。仲間達に感謝。

100719芦安金山沢温泉 下山後は芦安の駐車場のすぐわきにある金山沢温泉でひと風呂浴びる。手軽に入れるのはいいが、洗い場が狭く、体を洗うのに順番待ちの行列だった。



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2010年08月02日

滑る...(怖)〜谷川岳・一ノ倉沢(1)

8/1 一ノ倉沢駐車場〜テールリッジ〜衝立岩取り付き〜一ノ倉沢駐車場

先々週の北岳バットレスに負けない、ポピュラーなクラッシックルート、谷川岳一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜を目指す。が、昨夜はテントに小石が降るかのようなひどい雨。これでは岩がビショビショだ。不安がつのる。


100801夜明けの谷川岳一ノ倉沢

昨夜の雨で岩が濡れているのは間違いない。現在の天気は曇り&ガス。急に岩が乾くことも期待できない。


リーダーに、どうしますか?とたずねられ、自分のヘナチョコぶりを忘れ、行けるところまで行ってみましょう!などと答える。で、とりあえず出発。


今日の天気予報は晴れ後雨。岩場の途中で雨に降られたくない。想像さえしたくない。そこで、昼には下山するために、夜明けの一ノ倉沢に入山する。薄暗く雲が重く垂れ込める一ノ倉沢はまさに「魔の山」にふさわしい威圧感。


100801一ノ倉沢の雪渓の末端

一ノ倉沢の右岸を歩いて行くと、すぐに雪渓の末端に突き当たる。雪渓の割れ目をさけ、ルートを選びながら雪渓にはいずり上がる。


100801一ノ倉沢の雪渓を歩く

硬く急な雪渓を一歩一歩足元を確かめながら登ってゆく。意外なことにつま先を蹴りこんでも、はじき返されるほど雪が硬い。それなのに雪渓の上は暑い。気持悪いほど蒸し暑い。沢から雪渓の上をガスとともに風が吹き下りて来るが、この風がサウナの熱風のように、異常に湿度が高くて熱いのだ。


100801一ノ倉沢テールリッジ末端

テールリッジ末端に到着。これを登り本当のアプローチが始まるが、アプローチと言ってもどう見ても立派な岩場。


陽が昇り、ガスの切れ間から青空と一ノ倉沢の岩壁が見えてきた。


100801一ノ倉沢テールリッジ末端の岩場を登る

テールリッジ末端を登る。ルート集にはV級とあった。しかし、雪渓が引いたばかりで浮石が多いのと、ドロドロしているためフラットソールが使えず、アプローチ用の軽登山靴で登ったので、難しく感じた。


100801一ノ倉沢テールリッジスラブを登る

テールリッジは「リッジ」なので尾根だ。だが、所々スラブになってるうえに、おまけに昨日の雨のせいで岩が濡れ、まるでナメ滝だ。そこを軽登山靴で登る...滑る、滑る!、滑る(怖!)尾根の両側はナメナメしたまま、スラブに落ち込み、そのスラブもナメナメしたまま下まで続いている。落ちたらどこまで滑るのだろう...。幸いもっとも難しい場所にはフィックスロープがあったが、鉄板に油をまいたような場所をロープにつかまって歩くのもかなりしんどい。


100801一ノ倉沢烏帽子沢奥壁衝立岩中央稜基部

そんなこんなで、衝立岩中央稜の取り付きまでやってきた。ここを左にトラバースすれば烏帽子沢奥壁南稜の取り付きだ。つまり、ここからが今日の本番。しかし、滑るテールリッジとの格闘で汗だくになり、時間も予想以上に使ってしまった。そしてやはり岩は濡れている...


100801一ノ倉沢衝立岩中央稜基部から滝沢スラブ 今日の天候、濡れた岩、そして私のヘナチョコ具合からリーダが苦渋の決断をした。「午前中で登攀完了は難しいので、ここで戻りましょう。」

と言うことで、辺りの景色を目に焼き付けつつゆっくり休む。一ノ倉沢の対岸には滝沢スラブが見える。垂直に立ち上がり滑らかに延び上がってゆく壁。この冬期登攀をNHKで放送していたっけ。む〜、怖い。

次回に続く)



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2010年08月05日

行きは良くない、帰りも怖い...〜谷川岳・一ノ倉沢(2)

8/1 一ノ倉沢駐車場〜テールリッジ〜衝立岩取り付き〜一ノ倉沢駐車場

前回の続き)

100801一ノ倉沢衝立岩中央稜基部から 天気は相変らず良くない。雲が低く垂れ込め、ギザギザした稜線を隠している。

100801一ノ倉沢衝立岩中央稜基部から2

一瞬、雲が切れて薄日が差した。緑に覆われた幾重もの岩尾根が見えた。北岳バットレスは、明るく開けたあか抜けたフェースだったが、ここ一ノ倉沢は、深い谷が複雑に入り組み、ひだのように岩尾根が重なる、威圧感のある重々しい場所だ。


100801一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜

我々はあきらめて下山するが、後から来たパーティーは南稜にとりついていた。


100801一ノ倉沢テールリッジ懸垂下降

さて、下山。岩がツルツルで、場所によっては滑り台を歩いて下るような感じ。登ってきたときよりも緊張する。行きも怖いし、帰りも怖い。時間がかかっても、できるだけ懸垂下降で安全を確保しながら下る。


100801一ノ倉沢テールリッジ懸垂下降支点 「安全」を確保する懸垂の支点は、こんな感じ...

100801一ノ倉沢テールリッジスラブの懸垂下降

懸垂下降で下り続ける。登るときの一番の難所(ツルツル)にやってきた。滑って振られたら怖いな〜、と思っていたが、すで岩が乾いていたため、滑らずしっかりと立って下ることができた。


100801一ノ倉沢テールリッジスラブで一休み

難所をぬけてひと安心。ザックを置いて休憩する。振り返ると正面に衝立岩、そしてすぐ左にあきらめた烏帽子沢奥壁南稜。


100801一ノ倉沢シュルンド 一番の難所は越えたが、まだ油断はできない。もし転んで滑り落ちたら、あのゴウゴウと水音が聞こえてくる、雪渓と岩の間の暗く深いすき間に吸い込まれてしまう。

100801一ノ倉沢雪渓を下る

テールリッジの下降完了。ホッとする。あとは雪渓を踏み抜かないように下るだけ。下りは滑るかと思っていたが、雪の上の黒いモコモコ(土と草がまざったもの)を踏みながら歩くと、滑らず歩けた。


100801一ノ倉沢を振り返る

雪渓の末端から下ってきたルートを振り返る。登るときは薄暗くて分からなかったが、テールリッジと南稜に続くルートがよく見える。緑の帽子をかぶったような中央のピョコから上がる尾根がテールリッジだ。アプローチと言うくせに、傾斜もあってかなり登るんだな〜。


一ノ倉沢の駐車場まで下りると、そこは観光地だった。数十人の観光客達が一ノ倉沢を眺め、驚き、写真を撮っている。そこへ、沢の奥から突然我々が登場。「どこを登ったんですが?」と少し歩くごとにたずねられる。

「あそこの三角形の岩壁の下まで行って...戻ってきました...」

なんとも歯切れの悪い答えである。


この後、定番の湯テルメで温泉につかり、豆腐アイスを食べて、早々に昼には水上を発った。




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2010年08月29日

避暑クライミング〜小川山(1)

1日目 金峰山荘〜ガマルート〜金峰山荘

100828金峰山荘キャンプ場 クライミングの練習に行こう!でやってきた小川山。正確に言えばここは金峰山荘のキャンプ場だが、この周辺一体の岩場を小川山と言う。連日の猛暑、熱い岩場は嫌なので、標高もほどほどあって、林間の岩場もある涼しげな小川山を選んだ。
10時前にはキャンプ場に到着したが、すでに多くのテントが張られていた。皆さんの出足の早さに驚いた。

100828小川山ガマスラブの取り付き

テントを立てて身支度をして、いざ出発。マルチピッチの練習のために、5Pのルート「ガマルート」の取り付き、ガマスラブに向かう。が、そこはすでにすべてのルートに、トップロープのザイルがスダレのように垂れ下がり、取り付く隙間もない。皆さん、出足が早いですな...


100828小川山ガマスラブを登る

ルートが空いてないので、中間支点を取らずに登ってしまおうとしたら、隣のパーティーが親切にルートを空けてくれた。助かった...


グレードは5.6くらい。ホールドはあまり無いが、傾斜のゆるいザラザラの花崗岩のスラブで、靴のフリクションを最大限利用してペタペタと、ほとんど手を使わずに強引に何も考えず登りきる。


100828小川山ガマルートP2

ガマルート2ピッチ目。右、左、真ん中とすべのルートに人が取り付いている。そして、その3ルートが合流するテラスは大混雑。順番待ちをしているパーティーに聞いたら2時間待っていると...


幸いにして我々は30分ほど待った後、一番やさしいと思われる左のルートから取り付く。でもルートがよく分からない。目指した枯れ木のテラスに行けないので、テラスの真横でトラバースしてテラスに立つ。急なスラブでホールドがなく、シュリンゲを残置ハーケンに掛けかえながらの、かなり強引なトラバースだった。フリーのルートのはずなのに...


100828小川山ガマルートP3 枯れ木のテラスでピッチを切って、3ピッチ目。凹角を越える。ちょっと渋いなーと思ってホールドを探したら、クラックにキャメロットが...誰の?どうも取れなくなって残置したらしい。もったいない。

100828小川山ガマルートP5

天気が怪しくなってきたので、4ピッチ目はやさしいルートをサクッと登って5ピッチ目。このツルンとした岩はなんでしょう。取り付きの部分には靴が滑った跡がいっぱいついている...。


最初は見た目ほど難しくなく、手を伸ばすとバンドにちょうどいいホールドがあった。が、バンドに沿ったトラバースに手がない。滑らかな岩にペタペタと気休めに手を置くのみ。中間支点が下の方にあって、手持ち無沙汰のままバランスを保ちながらしゃがんでクイックドローを掛ける。おっかねな〜。


次回に続く)



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