2010年07月03日

「エベレストから百名山へ」〜本の紹介

「エベレストから百名山へ」(光文社新書、重廣恒夫)


なんとなく天気が悪くて蒸し暑い今日この頃。あぁ、いちねんじう雪山シーズンだったらいいのに〜。

そんなこんなで山に行かずに山の本ばかり読んでいる。


「エベレストから百名山へ」。文字通り、エベレストと百名山の本だ。


著者の重廣さんは、エベレスト南西壁世界最高点到達、日本人K2初登頂などの登頂記録を持つとともに、チョモランマ交差縦走を登攀隊長として成功に導くなど、ヒマラヤに輝かしい足跡を残している。


本書の前半では、これらの偉業をまるで料理のレシピのように淡々とつづっている。


後半では日本百名山、123日連続踏破の記録だ。こちらに興味をもたれる皆さんも多いかと思う。


しかし、これはコースガイドではない。逆に重廣さんは現在の百名山登山のあり方に疑問を抱いている。決まったコースを、大勢で、山頂だけを目的に往復するのが登山と言えるのか...


重廣さんの百名山登山は今の百名山登山へのアンチテーゼなのだ。


自分が登った百名山の数も知らず(おそらく二百名山のほうがたくさん登っている)、自分のPCで「ひゃくめいざん」と打つと「百命山」などとありがたく変換されてしまう私にとって、重廣さんの言葉は非常にうなずける。


「計画する楽しさと、それを達成する喜びを感ずることが登山の醍醐味であり、そのテーマは無限にある」(本書より引用)


この本でその醍醐味を伝えようとしている。


最後に、サラリーマンとして仕事を持ちながら、これら数々の偉業を成し遂げた重廣さんに、同じサラリーマンとして心から敬意を表したい。


エベレストから百名山へ (光文社新書)





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2010年12月14日

「南アルプス・深南部」〜南アのバイブル!

南アルプス・深南部


と聞いて何を思われるだろうか?


「え?新南部?どこそれ?」という人もいれば、「ほ〜っ」とため息をついて遠くを見る人もいるだろう。


当然、私は後者だ。いつ北岳〜山伏の縦走を果たしてやろうかといつも考えている。(青薙〜山伏が未トレース)。そんな私やあなたにとってバイブルのような本だ。


「南アルプス・深南部 藪山賛歌−知られざるルート94選」

(永井敏夫、山遊塾チロル)


101214南アルプス・深南部/永野敏夫 青薙〜山伏や光〜大無間などの深南部のルートはもちろん、松濤明もたどった甲斐駒ヶ岳へのルート大岩山〜日向山など、南ア北部のクラッシックルートも紹介されている。
南ア・マニアなら読んでいるとよだれがたれること間違いなし!

いわゆる「コースガイド」ではないが、読みやすい文章に豊富な概念図、写真が掲載されルート調査の貴重な資料となるだろう。

amazonでは買えないので山屋へ行こう。



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2011年04月13日

「山岳遭難の構図」〜本の紹介

「山岳遭難の構図」(青山千彰、東京新聞出版局)

災害や事故の「危機情報論」を研究する研究者による山岳遭難の解析。警察や山岳団体の遭難に関する記録から、未組織者(山岳団体未加盟者)と組織者の事故率の違いや、遭難の起きやすい状況、年齢などを分析している。


そして、その分析から主に道迷いの防止やリーダーのあり方について提言を行っている。


著者にはバリエーションの経験はほとんどないようで、研究成果を実践に生かすという点では物足りない。また、「ヤブ山のような見晴らしの悪いところではコンパスの効果を発揮できるほど差が出ない」と言う、コンパスと地図だけで密藪の縦走をしてきた私にとっては、目を疑いたくなるような記述もある。


この本はどんな遭難がどんなときに、どのように起こるか知識として知っておくために読むのがよいだろう。


山岳遭難の構図―すべての事故には理由がある



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2011年10月22日

人はなぜ山に登るのか?ヒマラヤ・サミッターの2冊〜本の紹介

人はなぜ山に登るのか?


「エベレスト50年の挑戦―テンジン親子のチョモランマ」
(廣済堂出版、Jamling Tenzing Norgay、Broughton Coburn)

息子は偉大な亡き父親の背中になにを見たのか?極限の状況での信仰とは?そして、チベットの民にとってヒマラヤとは?


世界最高峰・エベレストの初登頂者、テンジン・ノルゲイを父に持つジャムリン・テンジン・ノルゲイが大惨事の1996年エベレストに挑んだ記録。彼は父親から山を教わることなく、しかし、英雄である父を常に意識せざる得なかった。その彼が悲劇の年のエベレストへの挑戦を通して、父を語りそして自分自身にその意味を問う。


エベレストへの挑戦の歴史を知るため、そして山と向き合うために読むべき本。


「K2 非情の頂−5人の女性サミッターの生と死」
(山と渓谷社、Jennifer Jordan)

"K2"、パキスタン、カラコルムに位置するその世界第2の高峰は、困難な登攀と多くの犠牲者から「非情の山」と呼ばれる。この本が記された2004年時点で、その頂に立った女性はたった5人、〜すでに全員に山に消えている〜、その女性の挑戦と死を女性ジャーナリストが追った。


筆者は数々の記事や知人達へのインタビューにより、今は亡き、個性的で強烈な情熱を持った5人の女性達を生き生きと描き出している。しかし、それは、ジャムリンのエベレスト挑戦とは異質なものだ。

ある者は慣習を全く気にしない自由奔放な女性であり、またある者はやさしい母親だ。山に登るのは、名誉と見栄のためであり、または金のためであり、または空を飛ぶような何かのためであったりする。

そして女性であるがために、常に世の中の偏見や、男性の羨望や欲望にさらされ(正直なところ、ヨーロッパの男は山でもやることばっかり考えているのか?と思った。)、また逆に女性の武器を使って困難なルートを登り切った者もいる。


「暗黒に彩られたK2の女性登攀史」と著者は言う。

これも現実なのだ。いや、もしかしたらジャムリンのエベレストはきれい事で、こちらが本当の現実なのかもしれない。


エベレスト50年の挑戦―テンジン親子のチョモランマ

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2012年01月13日

「知床半島の山と沢」〜本の紹介

いつかは登りたい憧れの山というものがある。


今は登れない。でもいつか登れる日が来る気がする。

私の日本の憧れの山は知床半島だ。いつか羅臼岳から知床岬まで、流氷のオホーツク海を見下ろしながらの、冬季の知床半島縦走をやりたい。

もちろん、並大抵のことじゃ〜ない。道路は知床大橋、もしくは相泊までしかないので、相当に山深い。おまけに最終目的地は最果ての岬、日本のどんづまり。なにかあったらアウトだ。そして、もちろんそこは北の果て、極寒の季節風が吹き荒れる。


そんな私にぴったりの本があった。


「知床半島の山と沢」(伊藤正博、共同文化社)


著者がはじめに書いている。


「知床半島全体の山や沢についての記録が紹介された本が一冊も無いことを知り、それならば自分で実際に歩き、本を作ろうと思うようになった。」


まさに、この著者の思いが見事に濃縮された本になっている。

知床半島の付け根の海別岳から羅臼岳や知床岳、知床岬まで、知床半島を形作る山脈を貫く藪の縦走、海からの沢登り問わず、無雪期、積雪期問わず、著者が縦横無尽に歩いたルートが紹介されている。


非常に貴重な記録としての価値はもちろんあるが、「知床半島って山なの?」と思っていた人は、これを読めば日本にまだこんな秘境があるのだと驚くことだろう。


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